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8話 おともだち

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-06-24 07:00:02

 ——ルーシー、まさかの褒め言葉

「あ、あんただって……あんなスゴイ魔物を手懐けてるじゃないの! むしろ、あんたの方がスゴイんじゃないの!」

ルーシーは少しムキになりながらも、頬をほんのり赤らめて、思わず褒め言葉を口にした。

 すると、レティアが人懐っこい仕草でルーシーの顔を覗き込みながら、小さく囁いた。「あのね、ルーシーが呼んでくれるなら、わたしも“レティー”って呼んでくれると嬉しいかなぁ……」

「は? 私たち、さっき出会ったばっかりじゃない! そんな仲じゃないでしょ!」

 ルーシーは一瞬険しい表情を浮かべるも、レティアの無邪気な視線に圧倒され、結局はため息ひとつ。「……あんたがどうしてもっていうなら……仕方ないわね、れ、レティー。」

 その言葉にレティアは嬉しそうに手を叩いて笑い、ルーシーの反応をしばらく楽しむようにじっと見つめていた。

「な、なに見てんのよ! あんたなんかに構われたくないんだからね!」

 ルーシーは強い口調で言い放ちながらも、どこか照れくさそうに顔を逸らした。レティアはまったく動じることなく、にっこり笑顔で返す。

「うふふ、そんなに怒らなくてもいいのに。お友達になろうよ!」

 その無邪気な言葉に、ルーシーは一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにため息をついて。「もお、仕方ないわね。レティーがそこまで言うなら……べつに良いわよ。お友だちかぁ……」

 そう言いながら、ルーシーはふと微笑んだ。その笑顔はとても可愛らしく、思わずこちらまで笑顔になってしまうような魅力を感じさせた。

「うん。おともだちぃ〜」

 レティアが小さく、しかし確かな響きで呟いたその言葉は、隣に座っていたルーシーの耳にしっかり届いていた。

 レティアは嬉しさのあまり、ぴょこんと立ち上がると、ルーシーの腕にそっと自分の手を重ねた。ルーシーはビクッと体を震わせ、反射的に腕を引こうとする。

「は? え!? ちょ、ちょっと、なにしてるのよ!?」

 ルーシーは顔を赤くして、慌てたようにレティアから顔を逸らした。その声には明らかに動揺が混じっている。レティアは、そんなルーシーの様子を気にする素振りも見せず、ルーシーの腕を優しく撫でるように、指先でくすぐった。

「ふふっ、ルーシー、あったかいねー。お友達になった記念だよぉ♪」

 レティアは満面の笑みでそう言うと、ルーシーの顔を覗き込もうとした。しかし、ルーシーはくるりと完全に背を向け、顔を見られないようにする。

「う、うるさいわよっ。喜んでなんかいないんだからね! ふんっ」

 ルーシーはそう言い放ったが、レティアには見えないその横顔は、ほんのり赤く染まり、口元には隠しきれない柔らかな笑みが浮かんでいた。そっぽを向きながらも、ちらちらとレティアを気にする様子を隠しきれなかった。

 ——明かされる本音

「ルーシーは、冒険者さんなんだよね? パーティとかいるのかなぁ?」

 レティアは気になったことをそのまま口にした。もしパーティがいるなら、一緒にいられる時間が少なくなってしまうかもしれない――そんな思いが心の中にあった。

「……いないわよ。必要ないもの。わたし一人が好きなの。自由で良いじゃない……好きなところに行って、好きなことをするのよ!」

 ルーシーは自信を持って答えたものの、その声にはどこか寂しげな響きがあった。

「そっかぁ……。一人が好きなんだ……」

 レティアは少し残念そうに呟いた。その言葉に、ルーシーは慌てたように顔を赤らめながら否定する。

「え!? あ、違うの。そうじゃなくて……その、はぁ……。わたし、こんなムスッとした顔をしているし、照れ隠しで怒ったような口調になっちゃってパーティに入れてもらえないのよ。それに駆け出しの冒険者だし……」

 ルーシーは地面を見つめながら、ぽつぽつと本音を語り始めた。

「そうなんだ! えへへ。じゃあ……ずっと一緒にいられるんだ!? それって……すてきぃ♪」

 レティアはにぱぁっと笑顔を浮かべ、心から喜びを表した。その純粋な反応に、ルーシーは驚いた表情を浮かべる。

「はぁ? そんなに……わたしと一緒にいたいの? 一緒にいても不快にさせるだけだと思うけど?」

 ルーシーは戸惑いながらも、どこか嬉しそうな気配を隠しきれなかった。

 その瞬間、ルーシーの胸には今まで感じたことのない温かさが広がり、次第に彼女はレティアに心を開き始めた。ルーシーの険しい表情が少しずつ柔らかくなり、笑顔がこぼれるたび、レティアとの絆が深まっていった。

 ——ノクスたちの食事事情

「ね、ねぇ。ルーシーは狩りをしていたんだよね? わたしも、オオカミさんのご飯を取らないと……さっきお腹を空かせていたんだったぁ。」

 レティアはじっと座り、待機状態のノクスたちを見つめながら思い出したように話しかけた。

「……放っておけば、勝手に自分たちで狩りをして食べるんじゃないの? あれ、かなり強いのよ?」

 ルーシーは顔を引き攣らせながら答えた。彼女の視線はノクスたちに向けられており、その鋭い目つきには警戒心が滲んでいた。

「そうなの? 可愛らしいワンちゃんみたいだけど……? 撫でるとね、『くぅーん』ってかわいい声で鳴くんだよぅ♪」

 レティアは無邪気な笑顔でルーシーに教えてあげた。その言葉に、ルーシーは思わず声を荒げる。

「……あんたの可愛い基準がおかしいってっ。あれは、どう見ても恐怖そのものよ。」

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